iPad Pro 11インチ(2021第3世代)買っちった。八重樫です。
iPhone/iPadのLiDARセンサ搭載は2020年10月発売のiPhone12Proからなので最新というわけではないのですが、以前より気になっておりました。
また、株式会社オプティムさんのOPTiM Geo Scanの登場によりこれらを用いた測量が現実的なものとなり、いよいよ少しは触っておかないと取り残されちゃう!という焦燥感を言い訳にiPad proを購入したわけです。
とは言え、OPTiM Geo Scanはイニシャルコストもランニングコストもなかなかのお値段。
弊社のような規模では長期の受注見込みが伴わないと手が出ません。
なので、とりあえず無料の3Dスキャナアプリ3dScannerAppと、無料の点群処理ソフトウェアCloudCompareを使って観測精度の検証をしてみました。
3dScannerApp
LiDARセンサ搭載端末の発売から1年と少し経っている事で、今では様々なLiDAR対応3Dスキャナアプリが配信されています。
色々と試してみましたが、スキャンの設定項目やエクスポートのファイル形式の多さから3dScannerAppで試す事にしました。
試してみた感じではPolycamもテクスチャがキレイでエクスポートのファイル形式も3dScannerAppよりも更に多く、dxfにも対応しており凄く良さそうなのですがエクスポートにはアプリ内課金が必要なので、先ずは3dScannerAppで。
スキャン
アプリを起動するとこのような画面。
LOW RESモードでは設定項目はなくお手軽にスキャン出来ます。
HIGH RESモードでは上の画像のような項目が任意に設定出来ます。
詳細な使い方やレビューはこちらのnoteがとてもわかりやすいです。
Max Depth
最大スキャン距離。対象物+1.0mmぐらいが適切らしい。iPhone/iPadに搭載されているLiDARセンサでは5mまでが推奨されている為、このアプリでは最大5mになっているっぽい。
Resolution
スキャン解像度。多分、スキャン密度だと思われる。画像の10mmでは10mmに1点のような感じで。
Confidence
信頼値?精度の事だと思われるので、とりあえずHighで。
Masking
測る対象物を除いてマスクするみたいな感じ。ややこしいですが、Personを選択すると人をマスクして避けるのではなく、Personを選択すると人だけをスキャンするように他の物をマスクする。
スキャンについての設定はこれぐらいなので、色々とスキャンしながら試します。
スキャン中の画面はこんな感じ。
スキャン済の箇所に色が付いてゆくので、なるべく紫で覆えるようにゆっくりと歩きます。
試した所、円を描くように歩くと出発点/終点でズレが生じる事が多いので、歩く距離が短くなるよう左右に振ってスキャンした方が良い気がします。
スキャンをし終えると、このようにテクスチャ無しのプレビューが生成されます。
画面下部から処理のクオリティーを選択できますが、とりあえずHDで良い気がします。
画面下部のStartをタップし、少し待つ(このスキャンでは2分)とこのようにテクスチャが貼られたプレビューが出来ます。
画面右下のShareをタップし、エクスポートするデータ形式を選択。
この後、CloudCompareで作業をするのでここではPoint CloudのXYZを選択しました。
CloudCompare
無料で使える点群処理ソフトウェア…と言うか、有志で寄付によって運営されているOpen Source projectのソフトウェアを使います。
起動するとこんな感じ。
先ほど保存したXYZファイルを開きます。
座標値と各点のRGBがズラリと並びます。
深く考えずにApply allをクリック。
スキャンしたデータが読み込まれました。
このぐらいの倍率で見る分には写真のようにキレイに表示されているのですが、ググっと拡大すると…
このように、ザラザラとした点の集合で見難いので
画面左の「データベースツリー」から読み込んだ点群を選択し、プロパティの下の方にあるPointSizeを2か3程度に大きくすると見易くなります。
また、3DscannerApp固有の問題なのかはわかりませんが、この状態ではY座標とZ座標が入れ替わってしまっている為、実測した標定点に合わせて座標補正をします。
先ほどのPointSizeの変更と同様に、データベースツリーの点群を選択し、上部メニューの[ツール]-[登録]-[位置合わせ]を選択。
点群から3点以上を選択し、対応する標定点の座標を下のreference entitiesに鉛筆アイコンをクリックして座標を入力します。
この際、CloudCompareは数学座標なのでXとYを逆に入力します。
測量用のアプリではないので仕方のない事ですが、標定点は点群から選択する為ピンポイントでは指定出来ません。
変換結果はこんな感じ。
52mmならまぁ悪くない…思ったよりはずっと良い精度でスキャンできているようです。
先述したように、スキャンの時点でデータ内に標定点を設ける事が出来ない為、測量への活用は現実的とは言えません。
OPTiM Geo ScanではGNSSレシーバーを標定点としてスキャンする事でしっかりと測量座標系を持ったスキャンが出来るようです。
iPhone/iPadに搭載されたLiDARセンサーでの3Dスキャンの精度検証、測量技術を用いたLiDARセンサーの活用などなど今後もいろいろと試してみます。
Pingback: iPad ProのLiDARセンサーで3Dスキャンした点群の断面を見てみる。 – タイシン合同会社